深絞りは、1枚の金属板を金型で挟んで、圧力をかけて指定の高さに成形する技術を指します。
従来の冷間絞り加工は一定の高さを超えると成形が困難で、2つ以上の部品を接続する必要がありました。
しかし、最近では温度制御を加えた「温間絞り」技術が開発され、より深い絞り加工が可能となりました。
温間絞りは、冷間絞りでは成形不可能とされた絞りの高さの限界を上げることが可能であり、深型絞り加工は金型等のイニシャルコストがかかるものの、1枚の金属板で成形可能な限界値を上げることができるため、工程削減や製品自体のコスト削減など多くのメリットが得られます。

吉井金型製作所は、この温間絞り技術を提供しており、加熱冷却装置を用いた温間絞り加工装置と組み合わせて、冷間での深絞り加工よりもさらに深い絞り加工を可能にしています。
具体的には、温間絞り型を使用して、パンチを冷却し、ダイ・ブランクホルダーを加熱することにより、絞り率を向上させています。この温間絞り技術は、特にオーステナイト系ステンレスに有効で、通常の温度では限界な絞り深さも温間であれば加工が可能になります。

また、温間絞り型と冷間絞り型の比較例では、温間絞り型を使用することで、冷間絞りに比べてより深く絞ることができることが示されています。
例えば、材質SUS304の場合、冷間絞りでは深さ18mmで亀裂が発生するのに対し、温間絞りでは深さ38mmでも余裕で絞れることが確認されています。

これらの技術により、吉井金型製作所は、従来の冷間絞りの加工の限界を超えた温間絞り型による深絞りのノウハウを提供し、プレス金型、曲げ型、トランスファー型、打ち抜き型などの各種プレス金型の設計製作を行っています。
温間絞り技術の導入により、製品の品質向上とコスト削減を実現し、吉井金型製作所はこの分野での強い競争力を持っています。